大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ラ)115号 決定

按ずるに不動産登記法第二条の仮登記は同法第三十三条の場合の外、同法第三十二条に則り仮登記権利者の申請によりその目的たる不動産の所在地を管轄する地方裁判所より遅滞なく、嘱託書に仮処分命令の正本を添附してこれを登記所に嘱託してすべきものであり、この仮登記仮処分命令は仮登記権利者が仮登記原因を疏明したときは裁判所はこれを発しなければならないものである(同条第一、二項)。ところで同条第三項には右の仮登記仮処分命令の申請を却下した決定に対しては即時抗告をすることができる旨が規定してあるけれども、その申請を採用して仮登記仮処分命令を発した場合には、同法中に抗告をすることができる旨の規定がないことによつて考えて見ると仮登記仮処分命令に対し抗告ができるかどうかは不動産登記法の規定によつて決すべきもので、この点においては非訟事件手続法第二十条の規定の適用はないものと解するのが相当である。またこの仮登記仮処分は名は仮処分というのであるけれども、民事訴訟法における仮処分とはその性質を異にし、民事訴訟法第七五六条第七四五条の規定を準用し得ないものである。従つて仮登記仮処分命令に対して不服のあるものは本案につき訴を提起し、仮登記の基本たる権利の有無につき判断を受けて、その仮登記の抹消を求める外はないものであつて、抗告の方法で不服の申立をすることは許されない法意であると解するのが相当である(大正十三年(ク)第一一四号同年四月四日大審院決定、大審院民事判例集第三巻一二七頁参照)。よつて本件抗告は不適法としてこれを却下すべきものである。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判官 藤江忠二郎 原宸 浅沼武)

別紙

抗告の理由

一、抗告人は相手方から昭和二十七年八月身延山へ参拝の旅費として金五千円也を借用し、其他にも負債はありますが山林を売渡す約束をしたことはありません。

二、然るに相手方は抗告人が負債あることを奇貨とし別紙目録<省略>記載の山林を抗告人から安く買受けんことを図り抗告人に対し交渉して来ましたが、値段の折合がつかないので抗告人は売渡しの約束をしなかつたのであります。

三、然るに相手方は昭和二十七年十月十七日附を以つて売買契約ありと称し、仮登記、仮処分をしたことは抗告人として承認出来ませんから抗告する次第であります。

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